| 日曜日 1 3月 2015
ルバンの明り
日中この辺りは旧市街の表通りを回避するクルマで遅くまで混雑する。打って変わって静寂に包まれた夜、「角のパン屋さん」(ルバン in おやま)の明りだけがフワッと闇に浮かんでいる。空には昇り始めた半月。光と闇の塩梅、微妙に三次元的に傾きのある地形も相俟って、優しい夜の小景。旧市街の夜のあちらこちらに時々、ほぼ偶然ポッと出現する「小さな美景」
金澤では昼間歩き慣れた(クルマで通り慣れた)道にも、思いがけず発見がある、というか街の造りが自然と「そういう感性」に囁きかける、と言うべきか。
画面奥(暗くて見えないけど)は尾崎神社(1643年に金沢城内に建立。現在の地には1878年から)通り左手には金沢市指定文化財「旧園邸」(1920年頃築)、金沢出身の谷口吉郎(東宮御所、帝国劇場、東京国立近代美術館などが代表作)設計による石川県繊維会館(現西町教育研修館、1952年築)なども並ぶ。密かに歴史もある通り。2015年1月14日午前2時30分撮影
※ル・ヴァン(Levain)とはフランス語で酵母。
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| 木曜日 15 1月 2015
金沢文芸館 冬のイルミネーション
日没から22時まで仄かにライトアップされる金沢文芸館(国登録有形文化財)は1929年築の元銀行。(市が改修し平成17年に文芸館として開設)
大きく張り出した枝全体に雪溶けの雫をたわわに付けた街路樹が街灯の光を受けてキラキラ光る冬のイルミネーションの様。窓枠から漏れる優しい光の表情と相俟って印象的な夜の小景を作っている。あと数時間、ライトアップが終わってしばらくした頃には・・もうこんなふうには煌めいていないだろう。
雪は降り積もって辺りを塗り替え、溶けて艶をかけ、そしてあっという間に無くなってしまう。絶えず移り変わる景色の刹那、冬のイルミネーション。2015年1月1日20時15分撮影
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| 水曜日 14 1月 2015
雪の動物達 紺屋坂脇石段坂
大晦日の夕暮れからにわかに降り始めた雪がドンドン旧市街中を塗り替えてゆく。
兼六園下バス停と兼六園桂坂口方面を繋ぐ階段坂(平らに薄く載った雪の様子から、つい数時間前まで雪が全くなかったコトがなんとなくお分かりになると思う)脇の斜面がプーリー犬(モップ状の毛足を持つ犬)が密集して寒さをしのいでいる風に見えてつい立ち止まる。
雪はしばしば、見慣れた風景の細部を思わぬカタチに変身させる。刻々と変化する‘そういうモノ’を見つけに眺めに逍遥するのも金澤らしい雪の楽しみ方。2015年1月1日午前1時4分撮影
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| 水曜日 14 1月 2015
雪の中の三博士 金沢城 いもり堀 広坂緑地
元旦の夕暮れ、あたり一面を真っ白に塗り替えた雪の中を旅行者風の三人が等間隔で姿勢良く歩いてゆく。(地図で兼六園から尾山神社へ向かうルートを調べてここを歩いている・・と想像)視界に入ってからず〜っと観るとはなしに眺めていて・・なんとなく「東方の三博士」の画を思い出していた。
生態系にも配慮した控えめな(金沢城「本丸園地の森」には殆ど光が届いていない)ライトアップが始まって間もない時間。
しいのき迎賓館から金沢城までは完全に景観がコントロールされ、全面ガラス張りの金沢城公園側からは館の何処からでもその全貌がユッタリ見渡せる様になっている。
画面奥から金沢城、いもり堀(明治40年に旧陸軍が埋め立て戦後は長年テニスコートだったが移転、数年に渡る発掘調査後、鯉喉櫓台と共に復元)そして新たに整備された広坂緑地。今日積もった雪、目の前を通る人。金澤らしい、数百年に渡る時代が層を成してこの一瞬に成立した光景。2015年1月1日16時51分撮影
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| 水曜日 14 1月 2015
観音院表参道 経田屋米穀店
東山一丁目(旧観音町)観音院に向かって真っ直ぐ伸びる参道(しばらく進むと観音坂の少し手前から斜め右に折れる、江戸時代とまったく変わらない道筋)大晦日の夜から元旦一日中降り続いて、2日も断続的に降って街中真っ白に染めた雪だけど、降っている最中もドンドン溶けて夜通し溶けて・・3日の夜にはご覧の様にかなり溶けてしまった。
右に写っているのは金沢市指定保存建造物、登録有形文化財(文化庁)でもある「経田屋」さん(1904年築)数百年変わらない道筋と百年以上変わらない建物と・・遥か昔から変わらない月が見せるさり気なく美しい、金澤の夜の小景。2015年1月3日18時15分撮影
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| 火曜日 13 1月 2015
元旦朧月 石浦神社
ほぼ一日中雪模様だった2015年元旦だけど実は・・時に吹雪いて、時に音もなくフワフワと舞い降る雪の合間に実は・・「あっ!」っと思わず声を上げたくなるような、軽い驚きにも近い‘月が雲間から覗く瞬間’が何度もあった。
金澤では天候が崩れるコトと何度も晴れ間が覗くコトがほぼイコール。そしてその晴れ間がしばしば神懸かり的な美しい光景を見せる。
ここは金澤の中心に位置する石浦神社(兼六園、しいのき迎賓館、21世紀美術館と四つ角を形成している金澤最古のお宮。創建は諸説あるが700年代、現在の地には明治13年から)断続的に雪が降る中を初詣に訪れて・・フト雪が止んでいるコトに気付いて空を見上げると松の枝の間に朧月。期待を裏切らず上回る見事な月の光景。2015年1月1日19時06分撮影
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| 月曜日 12 1月 2015
雪林烏図 金沢城「本丸園地の森」
金澤では雪は一気に積り、いつの間にか溶けて全てなくなり、また積りを繰り返す。大晦日まで一切雪がなかった金沢城「本丸園地の森」があっという間に雪に覆われた図。昨日まで裸だった木々の枝という枝を芯にして結晶が膨らんでいく様なカタチでびっしり雪が張り付いている。一息で降った雪ならではの特徴的で美しい雪の造形、光景。
いつもはあまり目立たない先端に停まっているカラス達がミョーに浮かび上がって心なしか落ち着かなく見えるのも面白い。時々松の枝葉にこんもり溜まった雪がダダダダっと音を立てながら落ちて、あちこちで小さい雪煙があがる、突然一瞬の強風とともに辺り一面雪が舞う、静寂の世界の様で実際はなかなか刺激的なライブな光景。2015年1月1日16時30分撮影。
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| 日曜日 11 1月 2015
雪明り雪灯り。広坂緑地
ここは市の中心に位置する、しいのき迎賓館裏手から金沢城まで続く広々とした芝生。20年近い議論の末ここを「何もない贅沢な空間」に整備するコトに決まった結果出現した。県庁舎もかなり削り、後ろにあった建物も撤去し、駐車場は地下に新設して・・金沢城の城壁をすっかり見渡せる広大な空間になった。普段は地面を仄かに照らすコトに徹している照明は、真っ白に染まった平原のあちこちで間接照明になり空間を淡く照らす。極力石垣だけを浮かび上がらせるよう配慮したライトアップ(動植物への配慮から)、弱い光の点にしか見えない歩道を照らす照明と相俟って贅沢な雪見の空間が出現した。景観照明に細やかな神経を配る金澤ならではの、優しく暖かい雪の味わい。2015年1月1日17時7分撮影。
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| 日曜日 11 1月 2015
奥村家土塀 冬の光
そもそも地元が「雪の金澤」を盛んにPRしてきた経緯もあり、なんとなく未だに「冬の金澤は雪に覆われている」イメージを持つ人も多いだろうけど実のところ雪は「あったりなかったり」で無い時の方が多い・・様に思う。暮れも押し迫ったこの日も見渡す限り雪はない。
兼六園下から石引までそこそこの高低差をゆったり結ぶ兼六坂(尻垂坂)終盤近く、冬の淡い陽射しが加賀藩重臣奥村家の土塀の奥の方までスーっと淡く差し込んでいる。角度の低い光が土塀や石垣に作る陰影と相俟って「冬ならではの小景」を生み出している。土塀上の瓦の鈍い輝きもこの季節らしい。金澤の冬の「弱く淡い光」の味わい。四季を巡る微かな変化の連続の中から時折り出現する、ごくささやかな美景。2012年12月29日15時57分撮影
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| 日曜日 11 1月 2015
吹雪上がりの夜空 大友楼本店前
12月から2月に限り極端に日照の少ない金澤の冬(逆に3月から11月までの日照時間は東京よりも1割弱長い)だけど、実は細かく晴れ間が覗く日がとても多い。「弁当忘れても傘忘れるな」という金澤の諺は「天候がころころ変わる」コトをまず一番に、そして二番目に「雨が多い」コトを示している。(出掛ける時、既に雨が降っていれば&降りそうなら傘忘れないしね・・)
この日も金澤の冬らしい「回り舞台」の様な天候。日付けは変わっているけど「吹雪の神門 尾山神社」はこの日の夕方の話。曇って吹雪いて晴れて吹雪いて・・・舞台がグルグルと回る様な忙しい天候。そして何よりも・・雨上がりの美しい空を超えて「吹雪上がりの夜空」は格別なモノ。先程までの嵐もすっかり止んで無風&無音の中、天頂近くまで昇った月を仰ぎつつ歩く金澤の冬、晩春から盛夏にかけての夜歩きもそうだけど、冬のこういう時もちょっと異次元空間っぽい。2013年1月26日午前1時0分27秒撮影
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